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発酵・醸造の伝統的“匠の技”を化学分析で支援 ~熊本県産業技術センター~(3/3)
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2016年11月24日
前回に続き、熊本県内の企業を研究や分析などの技術支援で支える熊本県産業技術センターを訪問。食品加工技術室で、分析化学や生物有機化学などの分野を担当する研究主任の佐藤崇雄様に、伝統的な発酵食品の製造技術や、医薬品原材料の品質管理に活用される化学分析について、お話を伺いました。
3種類の最新分析機器を
ケース・バイ・ケースで活用
主に味の分析に使用されるAgilent 6520 Accurate-Mass Q-TOF LC/MS
熊本県産業技術センターは、精密機械、電気電子、情報、化学材料、食品・バイオ、農産物加工などのさまざまな産業分野において研究開発、依頼試験、技術支援などを行って、県内産業の振興を図ることを目的にして熊本県が設置した技術支援機関です。
「主にGC/MSは香りや脂肪酸組成などの分析に、LC/MSは味や栄養機能に関する成分などの分析、ICP-MSは金属元素の分析に使用しています。ケースによって使い分けるのですが、2種類以上の機器を利用して測定することなどもあります。以前は使っていたLC/MSにくらべ検出感度は飛躍的に向上しました。そのおかげでこれまでは見過ごしていた有用物質を検出することが可能になりました。」
香り成分の分析に使用されるAgilent 5975C GC/MSD
さらに、発酵ではさまざまな菌が作用するため、まだまだわかっていないことも多いという。
ICP-MSについては、最近種類が増えている食用油の分析に活躍しています。健康意識の高まりから、ごま油やなたね油、オリーブオイルなど従前から知られている油に加え、えごま油、亜麻仁油などの多様な食用油が食卓を賑わすようになりましたが、熊本県でもこうした油を生産する農家が増えているといいます。
微量金属の分析に用いられるAgilent 7500 ICP/MS
「植物性の油には、土壌に含まれる金属が取り込まれやすいという特徴があります。このため、食用油の中に毒性のある金属が含まれていないかを調べる必要があります。最近、『検査したい』という問い合わせが増えています。この検査には、ICP-MSを使用しています」
最後に、佐藤様に分析機器メーカーへの希望を伺いました。
Agilent 6520 Accurate-Mass Q-TOF LC/MSを操作する佐藤様
「製品の性能はもちろんですが、サポート体制がしっかりしていることを望んでいます。我々のような仕事では、分析したいアイテムが毎回変わるわけですから、どのようにすれば正しい解析結果が出るかは、アイテムごとに異なるわけです。ですから、こちらが分析機器を使えるようになるまできっちりサポートしてくれることが非常に大切だと感じております。平成28年4月に発生した地震では産業技術センターの保有するほぼすべての分析機器が何らかのダメージを負い、当時は復旧の目途もたたない状況でしたが、皆様方のご助言・サポートのおかげでその機能は徐々に回復してきております。ありがとうございました。」
科学の力で熊本県内の発酵・醸造食品産業などをサポートし、匠の技を再現する――そんな場面に分析機器が活躍していました。
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