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分析試験で日本の「健康と安全」を守る ~一般財団法人日本食品分析センター~ (1/3)
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2016年4月25日
市販の食品のパッケージに表示されている栄養成分表示や消費期限や賞味期限の表示。こうした食品の成分分析や安全性の試験測定を行い、依頼主にデータを提供している日本最大の機関が一般財団法人日本食品分析センター。今回は、大阪府にある同センター 彩都研究所 衛生化学部無機分析課課長(※)の吉村健一様にお話を聞きました。
※役職は取材当時のものです。
分析試験で国民生活に寄与する
分析のプロ集団
初めに、日本食品分析センターはどういう機関なのかについて、吉村さんに説明していただきました。
一般財団法人 日本食品分析センター 彩都研究所 「日本食品分析センターは、食品や食品添加物をはじめ、ペットフード、飼料、肥料、飲料水、包装資材、化学工業品、化粧品、医薬品、医療機器、家庭用品などの分析試験を行う日本最大かつ最古の機関で、創業59年目を迎えます。従業員は約 1000 人で、対応できるアイテム数は2万種類以上。これほど大きな分析機関は日本ではほかにありません。
国内外を問わず、さまざまな業種・業界の企業、官公庁、団体から依頼があります。その分析は、品質評価、安全性評価などが目的の試験のほか、栄養成分、衛生試験、機能性成分、生物試験、効果試験、法令に基づく規格試験など多種多様です」
分析の方法や手段は多岐にわたり、全貌がつかみにくいが、一般の国民に身近なところではどんな分析を行っているのでしょうか。
「たとえば、2015 年 12 月に文部科学省が『日本食品標準成分表』(食品成分表)を発表しました。15 年ぶりに改訂されたものですが、その中でこれまで鉄分の含有量が多いことで知られていたヒジキが、実は鉄分濃度が従来言われていたほどは高くなかったことが明らかになり、世間に驚きを与えました。こうした分析を行っているのが我々日本食品分析センターです」(製造方法が変わったことにより、ヒジキの 100 グラム当たりに含まれる鉄分の含有量は、これまで 55 mg でしたが、今回の食品成分表では 6.2 mg 低値となりました)
こうした食品成分の分析は日本国民の健康に直結する部分ですが、さらに国民の関心が高いのが食品の「安全性」です。食品や医薬品に有害物質が含まれていないかを分析することはもちろん、加工食品への表示が義務づけられている賞味期限・消費期限を設定するための基礎データの提案、食品偽装などに際し、産地を特定するための分析、さらには放射性物質の含有量の検出などにも対応しているそうです。
「本センターの基本理念は、分析試験を通じて『健康と安全』をサポートし、社会の進歩・発展に貢献することです。“日本食品分析センター”という名称ですが、食品は 3 分の 1 くらいで、それ以外の試料の分析が大半を占め、初めて取り扱う試料も次々に持ち込まれています」
同センターは、全国に 7 つの事業所があり、東西でほぼ同じ分析ができるほか、各部署が専門的な分析を行うような分業体制になっています。吉村さんの所属する無機分析課は、「有害金属の分析試験」を行う部署で、食品や医薬品、化粧品などの安全性の確認では欠かせない分野を担当しています。
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