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微量含有成分の分析で県内企業を支援し、魅力ある製品作りに貢献したい 熊本県産業技術センター (3/3)
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2016年10月28日
豊かな自然環境に恵まれた熊本県で、醸造食品や加工食品についての技術支援、研究開発を行っている熊本県産業技術センターの食品加工技術室。農業県でもある熊本県で、食品関連企業や農業関連企業のために食品成分分析を担当する同センター 食品加工技術室 研究主任の藤野加奈子様に、その目的や分析方法についてお話を伺いました。
原子吸光分析と同じ感覚の操作で
多元素分析が可能なMP-AESの活用
Agilent 4100 MP-AES(奥)とSPS 3 オートサンプラー(手前)
熊本県産業技術センターには、MP-AES(マイクロ波プラズマ原子発光分光分析装置)が設置されており、さまざまな食品中の微量元素分析に使用されています。
「本装置は、地域の成長産業育成を図るため、地域企業が研究利用や製品の安全性確認などの評価試験を行う場を整備する目的で当センターに整備されたものです(平成24年度 経済産業省「地域新産業創出基盤強化事業」)。本機器はオール九州の地域企業による活用を目的に導入したものであり、熊本県外の多くの食品関連企業の皆様にも気軽にご利用いただけるものです。」
「多元素を同時に分析できる装置には、より高感度なICP-MSやICP-OESなどもありしますが、食品サンプルはマトリックスが複雑で夾雑物も非常に多いため、これまでに使用してきた原子吸光分析と同じ感覚の操作で、多波長測定データが得られる点にハンドリングの良さを感じています。また、アセチレンガスなどの可燃性ガスを使用せずに分析できるため、安心して自動運転させることができるようになりました。」
Agilent 4100 MP-AESに試料をセットする藤野様
「栄養表示を目的とする分析方法については、「栄養表示基準における栄養成分等の分析方法等について」(平成11年4月26日衛新第13号、厚生省生活衛生局食品保健課新開発食品保健対策室長通知)で示されており、原子吸光光度法または誘導結合プラズマ発光分析法を用いた単元素分析が採用されています。しかしながら、食品の特徴的な微量元素成分を網羅的に把握する場合やおよその含有量を知りたい場合などには、複数の元素を一斉に分析することができるMP-AESは非常に便利です。お客様には、フレーム原子吸光法(※)とMP-AESの特徴をお話しして、ニーズに合った分析法を選んでいただいています。」
※フレーム原子吸光法:試料を高温で原子化し、光を透過させて吸収スペクトルを測定して、試料中の元素の同定および定量を行う方法。
産業技術センターでは、各種原材料や製品などについて分析測定を行い、その結果を成績書として交付する「依頼試験」と、当センターが開放している機器や設備を利用して、企業の方自身で製品の分析評価ができる「設備・機器開放」を行っています。
「MP-AESのご利用はどちらにも対応しています。設備・機器開放に際しては、担当者が基本操作の指導も行いますので安心してご利用いただけます。ご希望の方はお気軽に当センターまでお問い合わせください。」
また、熊本県は東南アジアにも近く、日本の農産物の海外輸出にも期待がかかります。
安全でおいしい熊本の食品が日本中、そして海外に、広く流通することに期待したいと思います。
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