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微量含有成分の分析で県内企業を支援し、魅力ある製品作りに貢献したい 熊本県産業技術センター (2/3)

2016年10月28日

豊かな自然環境に恵まれた熊本県で、醸造食品や加工食品についての技術支援、研究開発を行っている熊本県産業技術センターの食品加工技術室。農業県でもある熊本県で、食品関連企業や農業関連企業のために食品成分分析を担当する同センター 食品加工技術室 研究主任の藤野加奈子様に、その目的や分析方法についてお話を伺いました。

健康意識の高まりに応えるミネラルなどの微量含有成分

試験販売を行うための製品サンプルを作ることができる食品加工開放試験室

熊本県産業技術センターに問い合わせの多い相談として「製品の特徴的成分の把握」があり、同センターではこうした要望に対する依頼分析や設備・機器開放、技術相談も行っています。 

藤野様が現在、具体的に行っているのが微量含有成分のひとつであるミネラルの分析技術支援です。ミネラルというのは、カルシウム、鉄、亜鉛、マグネシウムなどの微量元素のこと。食品にこうしたデータを表示することで、食品の持つ機能性や魅力の数値的なアピールに繋がるのですね。

「食品中のミネラルは無機質とも呼ばれます。人体内の無機質量は体重の約4%で、体内では合成できないために、私たち人間は食事から摂取する必要があります。ミネラルの主な生理的役割は、(1)骨や歯を構成する。(2)細胞浸透圧や体液のpH調節、神経の刺激伝達など、生体機能を調節する。(3)生体有機化合物の構成成分となる。これらの3つがあげられます。カルシウム含有が多い食品は骨の形成を助けることや、鉄分が貧血予防に効果的であることは一般的によく知られており、みなさんも一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。

平成13年度に制度化された『栄養機能食品』は、栄養成分(ビタミン・ミネラル)の補給のために利用できる食品で、すでに科学的根拠が確認された栄養成分を一定の基準量含む食品であれば、特に届出等をしなくても、国が定めた表現によってその機能について表示が認められており、ミネラルでは亜鉛、カルシウム、鉄、銅、マグネシウム、カリウムが対象になっています。制度化以降、スーパーマーケットやコンビニエンスストア、ドラッグストアなど身近な場所でさまざまな商品が販売されており、企業にとってはミネラルを商品の特徴としてアピールするキャッチコピーの一つにもなっています。」

このような制度設置の背景には、消費者の食品の機能性への興味の高まりとともに、一方で企業の方でも機能をアピールして販売を促進したいという、両方のニーズがあるのでしょうか。

「そうですね。本来、この制度は消費者が科学的根拠に基づいて食品を選択できるように情報提供がなされるよう国が定めたものですが、他社との差別化や付加価値化を図りたい製造・販売者にとっては販売戦略手段にもなり得ます。栄養機能食品制度や強調表示の利用は元素分析値を基に行うことができるため、比較的平易に製品の特徴を伝えることが可能だと思います。誤解を招かぬよう、ひと言付け加えさせていただくと、昨年(2015年)から開始された機能性表示食品制度では、日本人の食事摂取基準で摂取量が示されているミネラルは表示対象成分となっていませんのでご留意ください。」