2019年7月24日
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第30回 国際生物学オリンピック ハンガリー大会終了後、文部科学省を表見訪問した日本代表(写真提供:日本科学技術振興財団)
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数学、物理、化学、情報など、様々な分野で中高生を対象とした科学技術の国際コンテストが開催されています。International Biology Olympiad (国際生物学オリンピック)もその1つで、1990年に第1回大会が開催されており、今年で第30回目となりました。この日本代表選考を兼ねる日本生物学オリンピックは、生物学のおもしろさや楽しさを体験してもらうことを目的とする全国規模のコンテストです。日本生物学オリンピック2019の予選(理論試験)には、全国47都道府県から4,954人が申し込むほどの大規模な大会となっています。Agilent Technologies Foundationは、この日本生物学オリンピックに寄付を行っており、寄付金は国内外の旅費、日本生物学オリンピックの試験開催時の会場費、国際生物学オリンピック日本代表・代表候補対象の研修費用などの一部として使われています。
未来の研究者らのネットワークづくり
現在、現在の国際生物学オリンピック日本委員会のメンバーとなっている方の一人が、1995年のタイ・バンコク大会を見学。「世界から人が集まって、理論問題や実験課題に取り組み、参加者同士が交流している。すごいことをやっている」という印象を受けたといいます。日本からも代表を送りたい。世界で通用する人材を養成したい。世界の人たちと交流する機会を提供したい。そんな思いから、大学の先生や、生物教育学会の先生、スーパーサイエンスハイスクール (SSH) に指定されている高校など、さまざまな関係者の協力を得て、日本生物学オリンピックを立ち上げたのが、2004年。2005年の国際生物学オリンピック 中国・北京大会から代表を派遣しています。今では、日本生物学オリンピック、国際生物学オリンピックは、高校の先生方にも広く認知されてきています。日本生物学オリンピックの理論問題は大学入試の問題とは傾向が違うこともあり、高校の先生も生徒と一緒になって問題に取り組んでいる学校もあるとのこと。日本代表候補には特別な研修が行われ、生化学の基本的な実験に取り組んだり、統計学的な処理について学んだりすると言います。こういった研修を通して、日本代表・代表候補どうしのネットワークが強化されるほか、国際生物学オリンピックに出場した代表の中には、他国の代表とネットワークを築き上げ、大学に進学してから、さらには研究者となってから、そのネットワークを生かしている例もあります。
2019年の国際生物学オリンピックは、7月14日から21日にかけて、ハンガリー・セゲドで開催されました。国際生物学オリンピック日本委員会のメンバーとしては、「各国の代表と交流する機会を提供することが重要であって、メダルの色は重要ではない」と話しますが、日本代表銀メダル2個、銅メダル2個と、全員がメダルを獲得して帰国しています。
2020年は長崎県佐世保市で、国際大会を開催
来年2020年の第31回 国際生物学オリンピックは長崎県佐世保市で開催されます。日本で国際生物学オリンピックが開催されるのは、2009年のつくば大会に続いて2回目。同じ国が2回目の大会を開催するのは、日本が初めてです。
今年7月に開催されたハンガリー・セゲド大会の席で、翌年の日本・長崎大会のコンセプトが発表されました。長崎大会では、各国の参加者がさまざまな日本文化に触れられるワークショップを実施するほか、複数の国の代表同士が1つのチームとなって、磯や山など、長崎の豊かな自然を観察しながら、課題を見つけ出してもらうアクティビティを実施する計画です。与えられた課題を解くだけではなく、自ら課題を発見することの重要性に気づいてもらいたいという狙いがあります。また、試験内容については、短時間で多くの処理をする問題ではなく、じっくり考えて答えを出すような問題も出題されるそうです。
長崎大会の運営にあたっては、かつての日本代表OB/OGにも集まってもらい、交流してもらいたいと、第31回国際生物学オリンピック運営委員会では考えています。代表として参加した当時の楽しい思い出を次世代に伝えてもらうとともに、OB/OG同士の交流の場として活用してほしいという意図だといいます。
日本生物学オリンピックについての詳細は、以下のウェブサイトでご覧いただけます。
http://www.jbo-info.jp/
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