2021年7月1日
2022年に創立50周年を迎える株式会社住化分析センターは、総合分析会社として様々な業界に向けて分析・評価サービスを提供し、その地位を確固たるものとしてきました。高度な分析・評価技術に基づく最適な解決策を、たとえば、医薬、医療、地球環境、食などの分野や、製造業における研究開発・製造・品質管理向けに提供。さらには、日本、米国、欧州、アジアを含む、グローバルな化学品規制に精通しており、その登録申請を行うサービスも行っています。
多彩な専門家が集まっている同社のなかから、今回は、元素の定量評価などを行っている千葉ラボラトリー 微量解析グループの奥崎 純一(おくざき・じゅんいち)氏、佐藤 秀俊(さとう・ひでとし)氏、藤村 知也(ふじむら・ともや)氏にお話を伺いました。
株式会社住化分析センター 微量解析グループ (左から)佐藤 秀俊 様、藤村 知也 様、奥崎 純一様(千葉県袖ケ浦市の同社 千葉ラボラトリーで)
奥崎氏は、「微量解析グループでは、化学薬品の取り扱いからコンタミネーションの管理まで、その高い技術を生かして、半導体、先端材料、エネルギー、化学薬品などの金属不純物測定を行っています。お客様からいただいた試料を前処理して、分析して、結果をお返しするのが私たちの仕事ですが、微量解析グループでは、お客様がどのように困っていらっしゃるのかを意識しながら、各分野の分析の専門家が、最適な分析サービスを提供することを常に心がけています。」と話しています。同社では、元素分析においてはICP-OES(誘導結合プラズマ発光分光分析装置)、ICP-MS(誘導結合プラズマ質量分析計)などの分析装置を使用しています。ICP-OESでは主成分分析から不純物分析までを行い、ICP-MSでは極微量分析で使用することが多くなっています。
金属分析の主力はICP-OES
微量解析グループではお客様からいただいた試料ごとに最も適切な装置を使用して分析していますが、現在、金属元素分析の主力となっているのはICP-OES。幅広い濃度域に対応できるため、触媒、セラミックス、有機材料、合金、レアアースなどのさまざまな試料中の金属不純物あるいは主成分の分析に利用できるからです。奥崎氏は「2003年に導入したVarian社(*)のICP-OES『Vista-PRO』を長年にわたって主力機種として使ってきました」と言います。Vista-PROの感度や精度には満足していたものの、導入から15年以上経過していることもあり、メンテナンスの頻度が増えてきました。安定的に分析サービスを提供するためには装置を更新した方がよいと考え、2020年に新たなICP-OES導入の検討をスタートさせました。
(*) 2010年にアジレントに統合
使いやすいソフトウェア
感度、精度、マトリックス耐性など、装置の基本性能はもちろんですが、使いやすさやサポート体制なども重視して比較検討した結果、2021年に「Agilent 5800 ICP-OES」を導入しました。
使い慣れているという理由もあるものの、「分析条件設定に必要な項目が1か所にまとまっており、初めての人でも使いやすいソフトウェア」(佐藤氏)と、アジレントのICP Expertの使い勝手を評価しています。今後は、同ソフトウェアに搭載されている高速自動カーブフィッティングテクニック (FACT) を干渉の多いサンプルに適用していくことを考えています。FACTは、測定波長に重なる共存元素の干渉ピークに対して、共存元素の標準溶液を測定しそのピーク形状を認識させることで、干渉影響の度合いをソフトウェアが自動的に解析して、測定波長の実質ピークのみを算出するバックグラウンド補正法です。一方で、「当社のニーズにあった柔軟なレポートを作成できるよう、出力されるレポートのカスタム性が改善されると良いのですが…」とも感じています。
多様な試料の分析ノウハウを蓄積してきた住化分析センターですが、最先端の分析に挑戦していくなかでは、初めての事象に遭遇することもあります。そのようなときには、分析装置の専門家の意見として、アジレントのエンジニアの意見がほしいと感じることもあると言います。
新たに導入したAgilent 5800 ICP-OESと佐藤氏
装置更新のきっかけとなったメンテナンスについては「導入系などが組み立てやすいと感じます。『コツ』がいらないので、初めての人でも、誰がやっても、同じようにできそうです」と佐藤氏は感じています。
半導体ウェハや高純度薬品の分析にトリプル四重極ICP-MSを活用
半導体ウェハの金属不純物は、製品の歩留まりや信頼性に影響を及ぼします。また、半導体分野で用いる薬品には高純度のものが必要ですが、その微量成分の分析も、品質管理上求められるようになってきています。半導体関連の金属不純物の分析において、住化分析センターでは、「Agilent 8900 トリプル四重極 ICP-MS」も活用しています。ICP-MSを使った分析に携わる藤村氏は、「8900は、主に半導体関連の微量元素分析など、高感度で極微量な成分を分析するニーズで活用しています。シングル四重極ICP-MSでは干渉の影響で測定できない元素も測定できます。トリプル四重極ICP-MSはハードウェアとしては高性能ですが、シングル四重極ICP-MSの延長という感覚で使用できます」と話しています。また、ICP-MS用のソフトウェアについては、「パラメータ設定やカスタム設定などで自由に変更できる箇所が増えており、ICP-MSを使いこなしている人にとって役立つ」と、評価しています。トリプル四重極ICP-MSは、もともとは、ナノ粒子測定も視野に入れて導入したものだそうで、今後、ますますICP-MSの活用が期待されています。
住化分析センターは、高度な分析・評価技術に基づいて最適なソリューションを提供できることが強みの1つとなっています。元素分析においても、幅広い濃度域に対応できるICP-OESから、極微量分析に対応できるトリプル四重極ICP-MSまで取り揃えており、様々なサンプルに対応できる分析技術も積み重ねてきたと言います。奥崎氏は「当社にはお客様からの信用と信頼を最も大切にする企業風土があります。この企業風土と、多彩な専門家集団による総合力を生かした問題・課題解決能力により、お客様からいただいたご要望には何かしらの解決策を提供できると思います。今後も継続してサービスを提供してまいります」と、今後の抱負を語ってくださいました。
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